腰痛になる理由
激しい痛みや重くのしかかるような鈍痛が特徴の腰痛ですが、腰痛が引き起こされる理由はひとつではありません。
以前は、体格や体質、ケガなど腰部分に明らかな負担がかかっている、もしくは損傷がある人に発症すると思われてきた腰痛ですが、腰とは関係ない部分の問題が腰痛に繋がることもあります。
現代は、人間関係や仕事上の不安など社会的背景が腰の疾患の引き金になっている例も少なくありません。
腰は体の中心にあり、体を支える根幹を担う部分でもあります。
基本的に二足歩行で生活をしている人間は、起きているだけで常に腰に負担がかかっています。
一日生活するだけでかなりの疲労が体に蓄積しますが、リラックスしたり体を休めることでその疲労を回復しています。
しかし、さまざまな要因が重なって疲労の回復が追い付かず、腰痛が発症してしまうのです。
今回は、腰痛発症の原因となる体調と環境についてご説明します。
腰痛に繋がる体調の変化
以下にご紹介する体調の変化が、腰痛の引き金になることがあります。
①風邪
風邪は万病のもととよく言われますよね。
風邪をひく頻度や重症度に関しては個人差が大きいですが、「人生で一度も風邪を引いたことが無い。」という人はいないのではないでしょうか?
風邪には発熱やくしゃみ・咳・頭痛・喉の痛み・だるさ・めまいなどがありますが、これらの症状と共に腰痛が現れることがあります。
人によっては、風邪をひくたびに腰痛が悪化していくという人もいます。
風邪の療養のためにしばらく安静にしていると、体を動かさないため筋肉が衰えていきます。
腰を支える筋肉も弱ってしまい、少し動くだけで腰に痛みが走るといった現象が起きるのです。
さらに、風邪をひくとくしゃみや咳が出ますよね。
くしゃみや咳は腹圧がかかり、筋肉や関節など全身に強い力がかかります。
その瞬間に腰に負担がかかって、腰痛を招くことになります。
また、風邪の際に体の防御反応として働くのが白血球ですが、この白血球の働きが関節に炎症を起こして痛みに繋がります。
②水分不足
水分をあまりとらない人や、塩分の多い食事を摂ることが多い人は腰痛になりやすい傾向にあります。
これは、水分不足が続くと腎臓の機能が低下するためです。
腎臓は、腰部の大腰筋と繋がっており、腎臓の不調が大腰筋に伝わることで腰痛になります。
塩分の多い食事やアルコールは、腎臓が疲労しやすくなる原因です。
「のどが渇いている」という自覚症状が無くても、脱水になっていることは少なくありません。
特に冬場は、水分の摂取量が減る人が多く、知らず知らずのうちに腎臓に負担がかかって腰痛になっていることもあります。
普段から塩分が多い食事を好む人は、食事の内容を見直したり、積極的に水分を摂るよう心がけましょう。
③妊娠
妊娠すると、女性の体は大きく変化します。
特に、妊娠後期になるとお腹がかなり大きくなり、腰を反らすような姿勢にならざるを得ません。
この姿勢は腰への負担が大きく、お腹の中の赤ちゃんの重みを支える必要もあるため、多くの妊婦さんが腰痛を発症します。
出産が終わればすぐに元に戻る人もいますが、そのまま腰痛が慢性化することもあります。
環境の変化による腰痛
腰痛は、体の変化だけでなく周りの環境の変化によって発症することもあります。
①季節の変化
日本は、1年間で4回季節が変わります。
季節の変わり目は、日によって気温の変化が激しく、日中と夜の気温差も大きいです。
すると急な温度変化に対応できず、体が緊張することが多くなります。
筋肉に疲労が蓄積しやすいため、腰痛の発症率が高くなるのです。
さらに、季節の変わり目は自律神経が乱れやすくなるため、交感神経と副交感神経のバランスが崩れます。
交感神経ばかりが活発になり、副交感神経が上手く働かなくなることで、休憩しても体の疲れが取れず、腰痛になってしまいます。
②ストレスの多い生活
ストレスにさらされる生活を送っていると、常に体に力が入っている状態になります。
交感神経が優位に働いているため、血管が収縮して血流が悪化していきます。
職場環境が変わったり、新生活をスタートさせた人が腰痛を発症することが多いのはストレスの影響を受けている可能性が高いです。
そのままストレス過多の生活を続けていると、やがて腰痛は慢性化していきます。
ストレスは目に見えないため、自覚していない人も多いですが、放置はたいへん危険です。
早めに対処して慢性化を防ごう
腰痛は初期症状で対処すれば、悪化を防ぐことができます。
しかし、大多数の人が初期の腰痛を放置してしまいます。
「これくらいならすぐ治るだろう。」と考えてしまいますが、腰痛を軽くとらえているとぎっくり腰や椎間板ヘルニアといった日常生活もままならないような痛みに襲われることもあります。
初期の腰痛は、腰痛の原因となる生活習慣や姿勢の癖を改善するだけですぐに症状が軽くなる可能性も十分にあります。
自分だけの判断では難しい場合は、腰痛の治療を得意とする医療機関に相談するのもおすすめです。