人間の体と猫背
パソコンを使う作業や携帯電話・スマートフォンの影響で、猫背の人が増加しています。
特に女性は、男性よりも頭を支える筋肉が弱いので、猫背になりやすい傾向にあります。
人間は、身体を丸くすると楽に感じる生き物なので、どうしても首や背中を丸めがちです。
これを筋肉の力で丸くならないよう支えているので、本来のまっすぐな姿勢が保たれるのですが、現代人はさまざまな理由で筋肉が衰えているため、猫背になりやすいです。
猫背の種類
ひとことで猫背と言っても、横から見たときの姿勢によっていくつかの種類に分けることができます。
以下に猫背の種類をご紹介します。
●首猫背
首猫背は、別名「ストレートネック」とも言われる猫背のことです。
横から見て、頭から足までを一直線で結んだときに、顔だけが前に出ているタイプです。
首や肩がこりやすく、呼吸器系が圧迫されて風邪をひきやすいという特徴もあります。
「昔より息苦しくなったな。」「胸がドキドキする。」という人は、首猫背になっている可能性があります。
現代人に増えている猫背で、下を向く姿勢をする人に多いタイプの猫背です。
下を向いてスマートフォンを使用する時間が多い若い人に見られます。
●背中猫背
背中猫背は、多くの人が想像する代表的な猫背の形です。
背中全体が丸みをおびて、横から見ても姿勢が悪いのが良く分かります。
背中猫背の人は、胸や消化器官を圧迫していることが多く、胸やけや胃痛を感じることが多いです。
パソコンなどの長時間前傾姿勢で作業をする人に多いタイプの猫背です。
●腰猫背
横から見たときに、少しお辞儀をしているように腰部分が曲がっている猫背です。
「腰が曲がっているのに猫背なの?」と思う人もいるかもしれませんが、これも立派な猫背の一種です。
椅子に座る時に、尾てい骨を椅子の角につけることができずお尻が滑っていく人は、腰猫背になりやすい傾向にあります。
腰痛持ちの人が多く、ヘルニアを発症している人も少なくありません。
また、泌尿器や生殖器に負担がかかるため、生理痛が重い人も腰猫背になっている可能性があります。
●お腹猫背
お腹猫背は他の3つの猫背と違い、首や背中が丸まっているのではなく、腰が反ってお腹が前にポッコリと出たような姿勢が特徴です。
一般的に想像する猫背とは少し違うので、「隠れ猫背」とも呼ばれています。
女性に多いタイプの猫背で、骨盤の歪みによって子宮の位置がずれてしまっていることも多いです。
太ももの後ろ部分の筋肉が弱くなると上半身を支えることが難しくなり、骨盤が前に傾きます。
このバランスを無理にとろうとして、腰を反らせる姿勢をすることでお腹猫背になってしまいます。
筋力不足が原因となっていることもありますが、ハイヒールを履く習慣が原因になっていることもあります。
簡単にできる猫背対策について
猫背は、「姿勢のクセ」なので治療するための特効薬などはありません。
しかし、猫背は見た目的に美しくないだけでなく、身体にもいろいろな悪影響を与えます。
日常的に猫背対策をすることで、少しずつではありますが猫背を改善できる可能性があります。
簡単にできる猫背対策として以下のような方法があります。
1.肩甲骨を動かす
猫背になっている人の多くが、長時間同じ姿勢をする習慣があったり、運動不足気味な人です。
このような人は、肩甲骨をあまり動かさないので、肩甲骨を中心とする背中・肩・首・腕の筋肉が硬くなっています。
肩甲骨を動かさないでいると、本来あるべき位置から肩甲骨がズレてハの字に開いていきます。
肩甲骨をこの状態で放置すると、猫背がますますひどくなるだけでなく、肩こりや腰痛などの症状にもつながる恐れがあります。
肩甲骨をほぐすストレッチで、硬くなった筋肉をほぐしてあげましょう。
<肩甲骨ストレッチ>
①リラックスして立ち、両手を上に挙げます。
②両手の平を外側に向けます。
③肘を曲げながら軽く胸を張りつつ、腕を徐々に下におろしていきます。
④肩甲骨が中心に寄っているのを感じながら、腕を軽く後ろに引いてストレッチをします。
⑤これを10回~20回行います。
2.背筋を鍛える
背中を支える筋肉である背筋が衰えると、きれいな姿勢を保つことが難しくなり、猫背になってしまいます。
腹筋と背筋のバランスが崩れていることが猫背の原因になっていることも多いので、背筋を鍛えて姿勢をキープしやすくしてあげましょう。
筋トレをすれば、背中についていた無駄な脂肪も落ちて、すっきりとしたきれいな背中が手に入りますよ。
3.深呼吸をする
猫背の人は、内臓を圧迫していることが多く、本人は自覚していなくても呼吸が浅くなっている可能性があります。
無意識に浅い呼吸を繰り返しているうちに呼吸器系や内臓に不調が出てきます。
浅い呼吸がクセになると、その姿勢の方が楽だと思うようになってなかなか猫背から抜け出せなくなるという問題もあります。
深い呼吸ができるようになると、健康な筋肉を作るのに重要な酸素をたっぷりと体に取り込むことができて、血流も改善していきます。
まずは、ゆっくりと腹式呼吸をする練習をしましょう。
深い呼吸をするポイントは、背筋を伸ばして鼻から思いっきり息を吸います。
この時、胸ではなくお腹が膨らむことを意識してください。
その後ゆっくりと口から息を吐き出しましょう。
このような深い呼吸ができるようになると、自然に背筋が伸びてリラックスできますよ。
まずは、起床時と就寝前に行うようにしてみましょう。
わかば接骨院でも、猫背が原因の痛みや不調に関する相談を受け付けております。