腰痛は高齢者だけの症状ではない
腰痛と聞くと中高年から高齢者に多い症状だと思われがちです。
「まだまだ自分には関係ない。」なんて思っている人も多いのではないでしょうか?
確かに腰痛を自覚している人の年齢層だけ見れば、50代・60代の患者数が多いのは事実ですが、若年層の人でも腰痛に悩まされている人はたくさんいます。
しかし、腰痛は老若男女関係なく発症する症状であり、どの年代の人にも関係があります。
ただし、どの年代の人も同じ理由で腰痛が発症するのかと言えばそうではありません。
年齢によって腰痛が発症する理由は異なり、対処法や治療法もその人に合ったものを選ぶ必要があります。
今回は、年代別の腰痛の主な原因と対策についてご紹介します。
子どもの腰痛
子どもに腰痛は関係ないと考えている人も多いですが、子供にも腰痛は少なからず発症します。
子どもの腰痛は、スポーツや遊びで筋肉を使い過ぎたことによる筋肉の炎症が原因で引き起こされることが多いです。
症状がそれほど重くなければ、「筋肉痛」としてそのまま痛みが無くなるのを待てば問題ありません。
運動をすると腰痛になりやすい子は、その子の筋肉量にスポーツの強度があっていないという事なので、周囲の大人が運動量をコントロールすることも腰痛を防ぐ一つの手段です。
また、スポーツ前にしっかりと体をほぐすことと、スポーツ後の緊張した筋肉をリラックスさせるためにストレッチで筋肉を伸ばすだけでも腰痛予防になります。
しかし、稀に筋膜が炎症を起こして「筋性腰痛症」になったり、疲労骨折している可能性もあります。
また、子どもでも椎間板ヘルニアになることもあり、大人のようにしびれなどの症状が出にくいことから発見が遅れることも少なくないのです。
子どものうちは筋肉に柔軟性があり、傷の回復も早く、体も成長途中のため適切な治療をすれば治りも早いです。
腰の痛みや違和感を放置すると、将来慢性的な腰痛に悩まされることになる可能性が高いので早めに医療機関を受診しましょう。
思春期の腰痛
思春期とは、二次性徴が始まる10~18歳ごろの年齢を指します。
このころになると、側弯症による腰痛を発症することがあります。
側弯症は、脊柱が曲がったり、ねじれたりしている状態のことで、特に思春期の女子に多い傾向があります。
思春期の女の子に多い理由ははっきりと分かってはいませんが、この年代の女の子が腰痛を自覚し始める時は側弯が関係している可能性が高いです。
思春期が終わると側弯症も進行しなくなるケースが多いので、それほど深刻になる必要はありません。
曲がりや歪みがひどくなければ、そのまま様子を見ることもありますが、専門家によるコルセットや運動療法が必要な場合もあるので、一度医療機関に相談に行きましょう。
20代の腰痛
20代は、体も出来上がり最も健康で働き盛りの年代ですよね。
多少無理をしてもすぐに回復する年頃でもあるので、ついつい無茶をしてしまいがちです。
しかし、20代の過ごし方によっては、骨や筋肉を衰えさせる原因になります。
実際、20代の3人に1人は腰痛を感じているもしくは腰痛になったことがあるという調査結果が出ています。
腰痛を引き起こす生活習慣として、長時間同じ姿勢でのデスクワークや重い物を持ち運ぶといった動作が挙げられます。
知らぬ間に筋肉疲労が蓄積して、慢性的な腰痛になる恐れがあるのです。
さらに、20代の腰痛の原因としてスポーツなどによる筋肉のオーバーユースがあります。
日常的にスポーツをする習慣がある人は、筋肉疲労が蓄積して腰痛が引き起こされる可能性があります。
30代・40代の腰痛
30代を超えると少しずつ骨や筋肉の老化現象が始まります。
若い頃の感覚で「少しくらい無茶をしても大丈夫。」と思っている人も多いですが、身体は着実に衰えていますし、体力も減りつつあります。
20代の時のように、睡眠不足が続いたり、激務をこなしているといつの間にか体のあちこちにガタがきてしまうのです。
また、運動習慣が減り、運動不足になる人も増える年代です。
運動をしないと筋肉はどんどん老化していきます。
腰椎の周りにある筋肉が上半身の重みを支えるサポートをしているのですが、筋肉量が減っていくと腰椎への負担は増大します。
30代40代でぎっくり腰や椎間板ヘルニアを発症する例も珍しくありません。
これらの症状はいちど発症すると何度も再発を繰り返す可能性があり、何十年単位で腰の痛みと付き合っていかなければならなくなります。
そのような事態を避けるためにも、適度な運動習慣を身につけ、「しんどいな。」と思ったら無理をせず、休息をとるようにしてください。
高齢者の腰痛
高齢者になると、筋肉の量や柔軟性もかなり少なくなります。
また、加齢によって骨や椎間板、関節が変形してバランスが崩れることで腰痛が発生します。
ちょっとした衝撃や負担に腰が耐えられなくなり、腰痛を引き起こすことも少なくありません。
また、骨の密度が少なくなり骨がもろくなる骨粗しょう症が原因で腰痛になることもあります。
骨粗しょう症を防ぐためには、若いうちから運動習慣を身につけて、栄養バランスの整った食事を心がけ、骨や筋肉を強化しておくことが重要です。